『チャートで見る』倉元製作所の株価が急騰!その理由と今後の展望を徹底解説
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株価が急騰した状況
2025年12月8日時点で、倉元製作所の株価は 177円。前日比で +50円/+39.37% の急騰(ストップ高)となりました。
出来高も大きく膨らみ、売買代金や取引量ともに通常以上の水準。
急騰の主な理由
ペロブスカイト太陽電池事業の新会社分割
同社は、ペロブスカイト太陽電池事業を新設会社に移管する「簡易新設分割」を決議したと発表。
この新設会社(名称見込み:KURAMOTOペロブスカイト)への移管により、同事業に対する第三者からの資本提携や資金調達が容易になる可能性があると市場は見ており、成長性への期待から買いが集中した模様。
再編の発表が投資家心理に刺さり、「太陽電池/再生可能エネルギー × 技術系製造企業」としての“成長ストーリー”が改めて意識された格好です。
とはいえ、注意点も
業績は必ずしも盤石ではない
倉元製作所の直近の決算(通期予想)は、赤字の見込み(EPSがマイナス)。
PBR(実績)は約2.48倍。理論株価ベースでは「170円あたり」が妥当水準とされており、現在の株価はやや割高圏と評価するデータもある。
成功すれば飛躍の可能性を秘める新規事業だが、量産設備導入など実行フェーズでの不確実性は残る — そこに対するリスク認識は必要です。
今後争点となるポイント
新設会社による資金調達や資本提携の具体的な内容(提携先、出資額、事業スケジュールなど)
ペロブスカイト太陽電池事業の量産体制の整備と、実際の販売・収益化の進捗
全体の業績改善 — 量産が成功しても、本体の収益構造がどう変わるか
過去〜最近の株価チャートから今回の急騰がどの水準かをざっと見てみます
過去からの株価の流れ
年足データを見ると、2009〜2015年頃には、最安値で約 34円、上場来高値で 約1,338円 まで上昇した時期もあったようです。
しかし近年は、株価が大きく下落 — 例えば2024年初めの終値は約 252円。その後、2025年は一時 316円 を付けたものの、その後は下落し、年末時点では 約127円 を推移するなど、ボラティリティが非常に高い状況です。
2025年11月〜12月にかけては、終値ベースで 120円〜130円台。最近の急騰(報道のあった「新会社分割」材料を受けたストップ高など)を経ても、直近では 130円前後 で推移。
「今回の急騰」は、過去のピークと比べてどのあたりか
過去、最高値で 約1,338円 を記録していたことを考えると、今回の 130円前後 の株価は「ピークの10分の1程度」にすぎません。つまり、過去ピークから見ると 大きく割り込んだ水準。
一方、2024年〜2025年前半にかけてのレンジ(200円台〜300円台)と比べると、2025年末時点は 割安感のある水準。
つまり「昔のピークには遠いが、最近の下落後の“割安ゾーン”付近で、材料をきっかけに反発した」という位置づけと考えられます。
意味づけと今後の見どころ
このチャートから見えることは
過去のピーク(1,300円超)は「過去の栄光」であり、同業績や事業内容を勘案すれば、簡単にそこに戻るとは考えづらい。
ただし「最近の安値圏(120〜130円台)」からの上振れ余地はあり、「割安 × 材料(新会社設立など)」という条件が重なったことで、今回の急騰が起きた。
つまり、ここから株価がどこまで伸びるかは、新会社の今後の具体的な進展や資本提携、量産/技術実用化といった「材料の実現性次第」になる — 過去のような高値を目指すには、それに見合う実績が必要。
もし今後 6か月〜1年でこうなったら?
という シナリオ別株価レンジ を、チャート分析の考え方と、現在の材料をベースに 複数のケース(強気・中立・慎重) で描いてみます。※あくまで「可能性の幅を示す仮定」です。
想定前提(共通条件)
過去の値動きパターン(チャート)および需給を重視する「テクニカル分析」の観点から判断。
ただし株価は「ニュース/材料(ファンダメンタルズ)」によって大きく変動することもあるので、下記シナリオでは、現在注目されている「新会社分割」「ペロブスカイト太陽電池事業の進展」が① うまく実現するか、また② 市場のセンチメントや需給がどう動くかが重要。
シナリオ①:強気
材料進展+需給良好でモメンタム継続
仮条件
新設会社による資本提携や提携先発表など「材料」が順調に出る
投資家の期待 → 実際の太陽電池事業の進捗確認 → 継続的な買い
チャートでも上昇トレンドを維持
想定株価レンジ(6か月〜1年後)
短期(6か月):約 220〜260 円あたり
中期(1年):300〜350 円あたり(過去の戻りを試すレンジ)
根拠・解説
過去の安値近辺(120〜130円付近)からの上昇は、支持線ブレイクから抵抗ライン試しのパターンになりやすい。
材料(新会社設立+太陽電池事業)がしっかり実現すれば、成長ストーリーに対する買いが継続しやすく、需給の良さから上振れ余地がある。
300円台は、過去の直近高値レンジ(※以前はもう少し上だったが)に向けた現実的な目安。
シナリオ②:中立/ベースケース
材料あるが“盛り上がり”は限定的
結論 — 割安/割高の相対評価は「大手平均比」で“普通〜やや割高寄り”だが、「同業比」はできず
現状、倉元製作所は「日本の主要上場企業のPBRレンジ(1〜2倍)」と比べると やや上 であり、簿価割れではない。しかし、明確に「同業他社との比較」で“割安”や“割高”を裏付けられるデータは 見つからなかった。
つまり、「割安」というよりは「将来の成長/実績次第で割高にも・適正にもなる可能性がある銘柄」と言える。
仮条件
新設会社化や事業再編の発表 → 一時的な材料反応はある
ただし外部提携や大きな資金調達はなし/進展は限定的
全体市況や業界のムードにも左右され、強いモメンタムは続かず
想定株価レンジ(6か月〜1年後)
短期(6か月):約 180〜210 円あたり
中期(1年):200〜250 円あたり
根拠・解説
新会社分割の発表だけでは「材料出尽くし」でいったん調整が入りやすい。チャートで言えば、上ヒゲを伴った陽線→反落、というパターンもある。
ただし、それ以前の安値圏からの上昇で「底堅さ」は確認されており、中長期的な大崩れは起きにくい可能性がある。
シナリオ③:慎重/下振れ
材料停滞 or 市況悪化で失速
仮条件
新設会社化の発表後、量産化・資金調達・提携などで進展なし
外部環境(再生可能エネルギー全体のムード、金利、株式市況など)が悪化
投資家の期待後退、需給の逆回転
想定株価レンジ(6か月〜1年後)
短期(6か月):約 130〜160 円あたり
中期(1年):100〜140 円あたり(再び安値近辺への回帰)
根拠・解説
過去のレンジ(120〜130円台)が「支持帯」となる可能性がある――つまり、材料が実らなければ、“安値リスク”が再浮上。
また、株価はあくまで「心理」と「需給」の反映なので、材料ストーリーだけでは持ちこたえられない可能性がある。
シナリオ分析の限界と注意点
過去のチャートパターンが必ず未来に再現されるわけではない。突発材料や業績、マクロ環境などの「ノイズ」に弱い。
“ストーリー先行型銘柄”では、「材料実現/継続性」が鍵。材料が消えると、大きくギャップ調整されるリスクがある。
シナリオはあくまで「仮定に基づく可能性」であって、確実性はない。
どんな状況なら“上振れ”しやすいか/注意すべきか
上振れしやすい条件
新設会社への資金注入、提携発表などのポジティブ材料
再生可能エネルギー分野の追い風(政策、制度、業界の盛り上がり)
業績改善や実績の見える化
注意すべき条件
材料の停滞、進捗報告の遅れ
市況全般の悪化(=投資マインドの冷え込み)
需給の逆回転(売り圧優勢)
現状の PER/PBR の確認
倉元製作所の直近データでは、BPS(1株あたり純資産)は約 71円。
同時点の株価を仮に 127円 とした場合、PBR は約 1.78倍。
ただし、EPS(1株あたり利益)予想がマイナス(赤字見込み)であるため、PER は「– 12.2倍」となっており、通常の「割安/割高」の評価には使えない。
過去には赤字が続いたため、継続的な黒字化または見通しの改善がなければ、PERに基づいた正当な評価は困難。
要するに — 現状では「PBRベースの評価」が中心で、「PERベースでの割安・割高」は使いづらい状況。
PBR ベースでみる「割安/割高感」の目安
まず、PBR(株価 ÷ 1株あたり純資産)の意味を簡単におさらい。PBR は企業の純資産(解散価値や簿価)に対する評価で、PBR が低ければ低いほど「純資産から見て割安」、高ければ「割高または成長期待を織り込んでいる」と考えられる。
倉元の場合
PBR ≈ 1.7〜2.5倍あたりが報告のレンジ。
仮に「PBR = 1倍」が“簿価=市場価値”の基準だとすれば、「1.7〜2.5倍」は「純資産の1.7〜2.5倍の評価」ということで、「簿価からみるとやや割高寄り」だと見なせる。
ただし「やや割高」=「過大評価」とは限らず、「将来の成長(事業転換、新規事業)」への期待値が市場に織り込まれている可能性がある。
現に、ある分析では現在の株価水準に対して「理論株価(PBR基準)」が 約171円、上値目途を 約226円 と試算されている。
→ つまり、現在の株価が仮に127円レベルであれば、「PBR理論株価ベースでは割安〜適正水準」、上値余地も残る、という見方ができる。
どのような前提なら「割安 ⇢ 適正 or 割高へ」の可能性あり
PBR評価で”割安〜適正”の可能性がある条件:
会社の純資産(BPS)が安定、または将来的に増加する(設備投資、資本構成の改善、負債圧縮など)
将来の事業成長や再構築(たとえば新規事業の拡大、再生可能エネルギー事業の進展など)に対する市場の期待が強まる
同業他社・業界平均と比べて割安なPBRレンジで取引される
ただし注意点として、PBRが高めであることは「割高」の可能性も含む ― つまり「成長が見込めなければ割高 → 下落余地あり」という逆リスクもある。
なぜ現状 PER では判断しづらいか
PER=株価 ÷ EPS だけど、EPS(予想)がマイナスなのでPERがマイナス → 「割安/割高」の比較対象にならない。
過去数年、同社は赤字や業績低迷の年が続いており(ROE 低い/収益性乏しい) → 安定黒字化が前提。
つまり、まずは“黒字定着 or 収益改善”を見ないと、PERでの妥当性評価は難しい。
結論として — 割安/割高感は “PBR基準で慎重に
現時点でのPERは使えず、PBRが主な判断基準。
PBR 1.7〜2.5倍あたりは「簿価に対するやや割高〜適正」のレンジ。だが、「成長ストーリー(新事業など)」に実現性があれば、理論株価レンジ(〜約226円)までの上昇余地あり。
逆に新事業が不振なら、PBRの高さだけが“割高リスク”となる可能性。

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